2016.03.29 Blog #001

【福井県南越前町】 “人の流れ”による地方創生

IMG_0505

福井県のほぼ中央に位置する、南条郡南越前町。
日本海を望む河野地区は、幕末から明治にかけて、北前五大船主と称される「右近家」をはじめ多くの船頭や水夫が大阪と北海道をつなぐ日本海海運に乗り出し、各地での物資の流通や文化交流に重要な役割を果たしました。

また、京都から北陸への玄関口に位置する今庄地区は、江戸時代には多くの旅人が訪れ、宿場町として大いに栄えました。
このように古くから交通・交易の要衝として人の往来を支えてきた歴史をもつ南越前町で2015年、「人の流れ」を生み出すことによって「地方創生」を行おうとする「流動創生」事業が立ち上がりました。

流動創生のはじまり

12322888_973782792708796_7428252692935788555_o

ことの発端は、都市部から南越前町に来た若者のある思いでした。
自分と同じように都市での暮らしや仕事に疑問を持ったり、都市の苛烈な競争のなかで疲れてしまう人は多い。
一方地方では、地域に不足しているスキルを持っていたり、地域に活気を与えてくれる‟よそ者”を必要としているが、都市住民の思い描くような仕事がなかったり、あっても一つの仕事で十分な生計を立てるだけの仕事量がないなど、都市住民が地方に移り住むハードルは高い。
また、移住を考えていても、縁がない地域に訪れる機会などそうはない。
それは暮らす場所の選択肢を狭め、ひいては「生き方」の選択肢さえ狭めることになる。
それらの問題を解決する何かいい方法はないだろうか。
その答えが“場”に人を囲い込まず、都市と地方、地方と地方、そして地域と人をつなぐ「人の流れ」をつくることでした。
そしてそれは、歴史的に「人の流れ」を支えてきた南越前町だからこそ行うべきだと考えました。
町は若者の提案を受け入れ、“人を地域に囲い込まないあり方”を町の公式事業「流動創生事業」として行うことになりました。

「人の流れ」をつくるための取り組み

町は「流動創生事業」の取り組みとして、町内にあった空き家を借り、気軽に訪問・滞在できるよう滞在拠点を設置。
滞在拠点では月一回程度の頻度でイベントを開催し、町や町の住民とつながりのない人でも気軽に訪れるような機会もつくっています。
また、自ら全国的な「人の流れ」をつくるため、町のワゴンに様々な地域の人を乗せて、都市や過疎地域など全国の地域に訪問・滞在する企画も行われています。

IMG_6879[1]

そのほか、町に気軽に訪れたり、中~長期で滞在したりすることを支援するために、町内で行うお祭りやイベントごとなど地域活動のお手伝いをすることで報酬を得られる仕組みや、外から来て雇用される方の賃金を町が補助するなど、地域外の人材を受け入れやすくしました。

img-event-list-17

また、移住者に対する自治体による起業支援も現在では一般的となりつつありますが、南越前町では移住者のみならず、町内に住民票を置いていない町外の人においても、町内の空き家や資源などを使った起業などに対して支援を行うなど、アイデアのある事業者が多拠点で活動しやすい仕組みを整えました。

今後、人口減少社会を迎え、さらなる大都市圏への人口集中、地方の過疎化が見込まれています。
しかし、都市への人の流入・地域からの人の流出をコントロールしようとすることは、ひとの生き方や意思を蔑ろにしてしまうとも限らない。

南越前町では今、人それぞれのやりたいことをやる自由、住みたいところに住む自由を尊重し、応援しながら、地域を継続運営していく試みが始まっています。

文・写真=山岸竜也

Recent Posts

  • #004
    2016.06.27
    行ってきました!RoundTrip2016春
  • #003
    2016.04.15
    あてどもない自転車旅で気付いた“大事なこと”
  • #002
    2016.03.30
    究極の引きこもり、車中で暮らすという選択
  • #001
    2016.03.29
    【福井県南越前町】 “人の流れ”による地方創生