2016.03.30 Blog #002

究極の引きこもり、車中で暮らすという選択

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広いコンビニの駐車場が車でいっぱい

 田舎に住んでいると、コンビニに車がたくさん停まっていて駐車できないことがあります。駐車場のない東京のコンビニを見慣れている人も、郊外のコンビニにいくと大体のお店で広い駐車場を併設しているのは見覚えがあるかと思いますが、さほど時間のかからないであろうコンビニの買い物で車が満車になるのは謎です。

田舎に住み始めてからのある朝、コンビニに車を停めて、ふと横を見て気づきました。窓越しに、運転席に座ったまま新聞を読んだり煙草を吸ったり、コンビニ弁当を食べたりしているおじさんたちの横顔がずらりと並んでいたのです。それは東京のスタバの一人席を埋め尽くしているサラリーマンと同じ光景でした(スタバは煙草吸ってる人いませんが)。田舎のコンビニ駐車場は、都会のカフェと同じ働きをしているのだという発見に感動を覚えました(そうして自分も惣菜パンをかじっていました)。

しかも、車は個室空間です。周りの音や人の目が気になるカフェよりも居心地の良い朝のひとときが、コンビニ駐車場にはあるのです。

勿論お店の駐車場に長時間停めるのはあまり良くないですが、地方であれば車が入れる広い空間も多いので、迷惑をかけずに車上で過ごすこともそれほど困難ではないということです。

車内というプライベートスペース

 私の住んでいる福井県は、一人当たりの平均車両所有数が全国トップです。夫婦共働きが多いことが関係しているようですが、高齢者も同じで、おじいちゃんが1台、おばあちゃんが1台、軽トラもあって重機も車庫に、なんてことがよくあります。近年、高齢者の免許返納が勧められていますが、免許を取り上げられるのを嫌がる高齢者もいるようで、その理由に「自分の空間がなくなるのが嫌だ」という話を聞いたことがありました。

地方では、飲食店に行けば見知った顔があり、店で買い物していれば声をかけられ、家にいれば当然家族が…と、一人になれる時間が少ないと言われます。人から距離を置くセーフティゾーンの役割を車内空間が果たしているわけです。

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車上暮らしは究極のインドア

 最近は、車を改造して荷台や牽引車を家にするトレーラーハウスやモバイルハウス等の存在にも関心が集まっていて、車上暮らしというライフスタイルが一定の人々の間で定着するのも時間の問題だと個人的には踏んでいます。車で移動しながら暮らすというと、「なんてアクティブな生き方なんだ、自分は到底関係なさそうだ」と思うインドア派もいるかもしれません。しかし車上暮らしの本質は、アウトドアにどんどん出かけたりイベントにがんがん出向いたりといったことではありません。自分のプライベート空間をスーツのようにまとって、延々と部屋の中で過ごすという車上暮らしは、究極の引きこもりです。

また、家に引きこもるとご近所からの目も気にしたりしてしまいがちなものですが、部屋が車ならいつでも部屋ごと逃走できます。無暗な争いを避けるブルーオーシャン戦略といっても過言ではありません。

モータライゼーションの功罪や燃料費の問題の課題はありますが、現代社会に息苦しさを感じる都市部の人々にも、車という柔軟で流動的な居場所が拓かれるといいなと思います。

文=荒木幸子(Takshif) 写真=荒木幸子(Takshif)、山岸竜也

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