2018.11.29 Blog #011

RoundTrip2018 福井~奈良~兵庫の旅「旅する○○」レポート【後編】

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奈良県桜井市「初瀬の小さな古本市」編

紅葉の近い長谷寺と向かい合う坂の町並みに、奈良での受入を担当してくださるいずおさんの拠点があります。
いずおさんは、奈良と本と本屋さんを愛するキャリアウーマン。平日は都内大手企業で人事の仕事をされていますが、1~2ヵ月に一度程の頻度でご実家のある奈良に通い、地域のイベントやコミュニティに参加されています。

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桜井市の初瀬という集落にある空き家を、念願のブックセンターとしてひらく第一歩として「初瀬の小さな古本市」というイベントを立ち上げました。このお手伝いと、同家の傷んだ畳の撤去が今回のメインミッション。

旅する〇○その4:ブックセンターお店番
空き家の立派な門構えの下に、本を陳列しての古本市「こもりくブックセンター」スタートです。箱2つのコンパクトな品揃えは、逆に興味をそそります。
ちょうど長谷寺駅から寺町に向かって坂を下る途中にあるブックセンターの前を、長谷寺観光のお客様も通りかかります。少数ながらときおりお客さんが立ち寄っては、本を矯めつ眇めつ店主とお喋りしていく長閑な場所になりました。

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いずおさんは古本を扱いつつも、「新刊が売れないと正規の本屋さんの商売が危ない」「街の本屋さんを守りたい」という願いをもっています。
「古本に、同じ作家の新刊の宣伝を挟んでみたらどうでしょう?」RoundTripメンバーの本好き植田さんからの提案に「それは思いつかなかった!」と喜んでいらっしゃいました。小さな知恵やチャレンジの積み重ねが社会への働きかけになっていくのかもしれません。

旅する〇○その5:畳上げ
古くなって傷んだ畳を上げて、小屋に移動させていきます。
途中、近隣の移住者の方が「使える畳があればほしい」と立ち寄られました。状態の良い2枚を引っ張り出してお譲り。空き家活用の一コマにも、地域の人々との緩やかなつながりを感じます。

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旅する〇○特別ミッション:庭の土づくり
特別ゲスト、南越前町住民の西川さんが到着。なんと自分の車でRoundTrip車を追って奈良まで駆けつけてくれました。持ってきたのは畑作業の道具一式。覆われた草をとり、土に栄養を混ぜて人力で耕運していきます。

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西川さんは日頃自分の家でチューリップを栽培しています。以前別の機会にこもりくブックセンターを訪れた際、遣われていない花壇を見つけ、手間のかからないチューリップを植えて場に彩を添えたいといずおさんに願い出たとのこと。「旅する土の人」西川さんならではの「場づくり」になりそうです。

ブックセンターでの作業を諸々終えた後は、桜井市に本店のある「だんご庄」さんの手づくりのきなこ団子をいただいて一服。

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夜はいずおさんのご提供で、ぜいたくな厚切りお肉のBBQをいただきました。やや肌寒くなってきた山間の夜空に、炭火のあたたかさが立ち上っていきました。

翌朝、「旅する土の人」西川さんの指導で畳を軽トラにしっかりとくくりつけ、清掃センターへ搬出して、奈良の皆さんとお別れしました。穏やかな秋の山々を後に、いよいよ最終地へ。

兵庫県豊岡市「豊岡フィールドワーク」編

豊岡市は兵庫北部の中心都市。市のちょうど中心に市街地が、その北側には有名な城崎温泉があります。受け入れてくださった同市地域おこし協力隊の岡田さんは、京都でWebの仕事をされて、ご実家に近い豊岡へJターン、地域の仕事をされながら市街地内でのゲストハウス開業を準備されています。
到着したRoundTrip一行は市街地中央のスポット、公設広場で全員リリース。それぞれテーマをもって町の情報を集めます。町の人と立ち話をしてみたり、ベンチで食べ歩きグルメを堪能してみたり、珍しい建物があれば立ち止まって観察…それぞれの感性のアンテナを張って豊岡を歩きます。

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夜は岡田さん、シェアハウスに住んでいらっしゃる森さんと一緒に激辛火鍋をつつきながら、町歩きで集めた情報の報告と提案を実施。市街地~城崎温泉への移動手段あれこれ、スーパーの品揃えリサーチ、揚げ物屋のおじさんの武勇伝等々、手触り感のある豊岡情報が集まりました。

翌日最終日10/10は城崎国際アートセンターへ。舞台芸術を中心としたアーティスト・イン・レジデンスの取り組みを展開されており、部隊の練習の様子を地域住民が見学できたり、プロが指導する住民参加のワークショップが開催されたり、地域の人がアートと出会う貴重な機会をつくっています。

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「アートに興味のなかった人が、ふらっとセンターに立ち寄ってアートに出会うのです。印象的だったのは、舞踏芸術を見た住民さんの一人が”自分には何が良いのかまったくわからなかった”と率直な感想をアーティストにぶつけたこと。アーティストも驚いていましたが、刺激にもなったようでした。
都会や一般的な舞台を見に行ったら、普通は場の空気でそんな率直な感想は言えない。いつもと違う場所だから、違うフィードバックが得られ、新しい気付きがある」

アートセンター職員の吉田さんのお話は、RoundTripにも通ずるものがありました。

 

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旅する〇〇がもたらすもの

SNS上に無数の意見が表示され、当たり前や非常識が盛んに議論される現代。自分の五感に耳をそばだて、自分の心からの想いを表に出すことが難しくなっています。見知らぬ土地への旅、あるいは見知らぬ旅人の来訪は、閉じ込められた生の感情をふっと解き放つきっかけをくれるものです。
今回の搭乗者の皆さんにも、全国の個性あふれる様々な地域と「自分らしさ」をどう関わらせていくか、イメージが湧いたのではないでしょうか。それぞれのミッションを主体的に遂行しながら、都市と地方をかきまわして新鮮な風を送り込む「旅する〇○」が増えていくことを願っています。

写真=宇野 朱美、Tatsuya Yamagishi(シノノメクリエイション)
文=荒木 幸子(FlowLife Laboratory/流動創生)

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