2018.03.29 Voice #007

ヨハクデザイン×流動創生対談【後編】夢追い人へのメッセージ

voice007_img01

旅するデザイナーとして全国を巡る株式会社ヨハクデザイン武田明子さん。その挑戦的なライフスタイルに憧れる人も多く、都市・地方問わず様々な場でお話をされています。これから動き出そうとしている人、動き出せずに悩んでいる人に今だからこそ伝えたいメッセージを、流動創生荒木幸子との対話で語っていただきました。 5時間越えのロングインタビュー!後編です。
(前編はこちら!)

◆武田 明子(たけだ・あきこ)
1983年兵庫県生まれ。大阪芸術大学グラフィックデザインコース卒業後、10年間で4社にデザイナーとして勤務。2015年6月に独立。同年12月株式会社ヨハクデザイン設立。企画・グラフィックデザインが主な業務内容。多拠点生活×仕事を実践中。メインオフィスは横浜、サテライトは岩手、愛媛、その他日本全国。磨耗せず余白とともに生きる社会を作る。フリーランスの暮らしを伝えるライフログを、Instagramで更新中。

「圧倒的な行動力」で見せていくしかない

武田:私が複数の地方を旅しながら仕事をしたり、「現代版百姓プロジェクト」として地域の生業に携わったりという話をすると「武田さんは特別な人だから自分にはできない」と言われてしまうことがあって、自分の浮世離れを感じてしまうんです。できないって言う人、踏み出せない人との乖離みたいなもの。「工場や固定の職場で働いてる人なんかはどうするの?可哀想だから、無理なことを言って夢を見させないでください」と言われたこともあります。個人的には工場勤務も素敵な仕事だと思うんですけれど…

荒木:社会の多様化ってよく言われますけれど、上下じゃないタイプでの「立場」の格差が広がっているとも言えますね。
それに、もちろん日々の暮らしで精いっぱいという方の気持ちは理解できるのですが、やはり社会からの救済を受動的に求める消費者気質が表れているところでもあるのかなと思います。私も勤め人の時代はそういうタイプだったのでわかるんです。でも、周りの人たちが「自分の可能性は自分のアクションによって切り拓いていけるんだ」と熱心に語りかけたり、世の中が発信し続けてくれた。そのおかげで、本当にたまたま、世界が広がって別の視点を持てるようになって、今ここにいる。この偶然の恩恵を、自分も他の人に繋げていかなくちゃとは思っています。

武田:そうですね。自分の知りえることやマインドを伝えたいという思いがある一方で、実際には暮らす環境の違う人に、言葉で話してもなかなか受け取ってもらえない、伝わらないというジレンマをいつも感じてきました。そうして最終的には、言葉ではなくとにかく「圧倒的な行動力」で見せていくしかないのだと思ったんです。それしか私にはできないし、もし違う角度から相手に刺さるかもしれない。だとするとその可能性を高めるために行動パターンを増やす。あとは、とにかく自分のできることに注力したほうが早いんじゃないかと思っています。

荒木:わかります。私も流動創生スタート時に「体現するしかない」ってしょっちゅう自分に言い聞かせてました。

完璧でなくても始める・走りながら育てる

武田:私のパートナーとは性格が正反対で、何かをスタートするのにも、まず完璧な形を作ることからスタートしたがる人なんですよね。テスト段階の構想や企画をSNSで先んじて投稿するとかいうことはしない。何か足りないと思うところがあるなら、並行して勉強しながらでも始めればいいじゃないと。何を言ってもタイプが違うから、全然理解してもらえない。
もちろん行動より思考を重視するタイプの良さもたくさんありますが、新しい事業は、ある程度構想ができたら作り込みに時間をかけるのではなく、何度もトライアンドエラーを回して練って、徐々にいいものを出していけばいいんです。躊躇せずに、如何に早く発信して周知していくかが勝負。

荒木:こと男性は、失敗も途中経過も他人に見られるのを嫌がる傾向にありますからね…でもそれで、最近パートナーさんと一緒に事業をはじめていくということになったんですよね?

武田:長い時間説得してきたので…(笑)私が自分の会社を、小さいところから少しずつ実績を積み上げて成長させてきたのを見て、やっとわかってくれたみたいです。これだけ身近な人にだって、何百回話したところでなかなか変わらなかった。とにかく結果を見せたほうが早いんだというのが、わたしにもようやくわかったんです。

個で生きる人にも、組織で生きる人にも大事な役割がある

荒木:武田さんのような、ぐいぐい引っ張っていける人が一定数必要なのではないかなと。そういう人たちが、1億2千万人の日本人の中で、数百万の企業のてっぺんに立っているわけです。
昔から、集落の長ってほんの一握りの人しかなれないものですよね。長は知識や経験の蓄積を持っていて、村のみんなに尊敬されている。若手がそれを見ながら次の長へと育っていく。ただ、若手がみんな長になるわけじゃなくて、一握りであると。そういうリーダーの系譜の中で頑張れる人は一定数で、他の人たちはリーダーではなく「普通の人」として生きる。昔からそういう配分だったんだろうな、だとすると基本的に人間は大多数がリーダーに追従していく生き物なのかもしれないとも思うんです。一人の社長がいて、無数の社員がいる。そう考えると、みんながみんな明確な意思をもってぐいぐい事業なり活動なりを進めていこうと言うのは、そもそも無理があるんじゃないかと。

武田:自分で事業を経営する立場じゃなくても、それぞれが仕事の意義ややりがい、誇り、自我をもってやっていくのは一つのあり方だと思います。本当は適性がないのに事業を起こしたい、独立したいっていう気持ちに駆られてフラストレーションを抱えてしまったりする。先駆者や提唱者が伝え方を間違って「みんなできるよ」って言ってしまうから。

荒木:そこですね。

武田:もちろん組織の仕組みがあるからこそ成り立つ規模の仕事もあるわけです。会社に所属していた頃は、チームとして数百万円規模の仕事も請け負っていたけれど、独立した今はその規模の仕事は断っている。大きい組織だからこそ、億単位の仕事が請け負える。そういう、組織にしかできないこと、組織の凄さや価値について、もっと認識する必要がありますよね。
個の時代だって言うけれど、みんな独立すればいいという話じゃない。みんな独立したら、今大きな会社でしか回せない電車とか動かなくなっちゃいますもん。

荒木:ほんとそうですよ。JRの社長さんにも社員さんにも日々感謝ですよ。

組織と個人、両方の立場で自分の仕事に向き合い、自分の納得のいく生き方を模索してきた武田さんならではのお話を聞かせていただき、私も改めて自分の経緯と想いを確認することができました。
これからも、地域間をしなやかに渡り風を吹かせる人、地域に身を寄せ土を守る人、様々な声からFLOW LIFEのヒントを掴んでいきたいと思います。

文・聞き手=荒木幸子(Takshif) 写真=山岸竜也

Recent Posts

  • #011
    2018.07.18
    【イベントレポート】流動創生CrossOver 関係人口の分解と再構築レポート後編~手段としての関係人口
  • #010
    2018.06.20
    徒歩探索でエリアを理解する、熱狂を生み出す。コミュニティビルダー柴田大輔さんの”パトロール”の真髄
  • #009
    2018.06.17
    【イベントレポート】流動創生CrossOver 関係人口の分解と再構築[中編]~被災地の関係人口
  • #008
    2018.06.07
    【イベントレポート】流動創生CrossOver 関係人口の分解と再構築[前編]~複属と分人
  • #007
    2018.03.29
    ヨハクデザイン×流動創生対談【後編】夢追い人へのメッセージ
  • #006
    2018.03.26
    ヨハクデザイン×流動創生対談【前編】流動する「個」と「組織」の関係
  • #005
    2018.01.30
    「地方で生きるパワーをもらう」カナザワいつみさんの多拠点暮らし
  • #004
    2016.10.31
    全国巡業企画RoundTrip2016秋 滞在地域の方々にお話を伺いました!
  • #003
    2016.07.25
    地域に、文化に、身を浸らせる。さすらいの音頭取りメンデルさんの旅
  • #002
    2016.04.22
    「何となく気になるのは、そこに何かがあるということ」ツジマミさんと“インド”の出会い