2018.12.21 Voice #013

よそ者との関わりが「心の過疎」を癒す。西川修司さんが創り出す地域の流動性

Voice013_img01

 

流動創生の福井拠点がある福井県南越前町宅良(たくら)地区に住んでいらっしゃる西川さん。公民館主事として地域の行事に、またあるときは週末農家として農業に、地域の生業や暮らしの営みを流動創生拠点滞在者に提案・提供してくれる、流動創生にとっての地域側のキーパーソンです。
そんな西川さんですが、流動創生と出会ってご自身の動き方や考え方にも変化があったとのこと。
流動創生について、ご自身の活動について、また地域の未来について、いま想うこと、考えていらっしゃることをお聞きしました。

◆西川 修司(にしかわ・しゅうじ)
福井県南越前町宅良地区在住。町内の企業で働きながら、公民館主事としても活動。自宅の庭が寂しいな、と感じてチューリップを植えてみたことから、チューリップに魅せられ、今では1000個単位で植えている。流動創生の活動に興味を持ち「関係人口がもたらすものは数値で表せるものではなく、人々の心で感じるもの、ゆえに効果は計り知れない」と感じている。町内に来た流動創生の滞在企画参加者と主体的に繋がって交友関係を広め、その縁で町内に限らずに活動の幅を広げている。

受け入れてきた「土の人」が、旅する「風の人」に

西川:
ようやくこの間、自分の畑にチューリップを植え終えました。秋に植えたら春咲くまで、基本ほったらかしでいいので非常に楽なんです。球根の花は、球根の中に生育に必要な養分が全部詰まってるから肥料も要らない。
だけど乾燥にだけは気を付けなくちゃいけない。その点は富山もそうだけど、北陸の冬は相性がいいんだよね。積もった雪から常に水が供給されるから。
春に花が咲いたら、球根を収穫するために、咲いてるうちに花だけ取ってしまいます。花が残っているとそっちに養分がいってしまうので。しばらくそのまま置いておいて、5月の終わりごろ、葉っぱや茎が黄色く枯れたころに球根を掘り起こして、家の軒下に玉ねぎネットで下げて乾燥させておくんです。

荒木:
最近はRoundTrip2018(流動創生が開催する複数地域キャラバン企画。2015年から5度開催)でお邪魔した、奈良のいずおさんの拠点の花壇にもチューリップ進出しましたね。流動創生で関わるうちの「土の人」たちは、よそ者を快く受け入れてくれますが、自ら他の地域に赴く「風の人」になるケースは珍しいです。

西川:
RoundTrip2018のときに奈良の家の畑を耕したので、あちらにも今度球根を植えに行きます。宅良でも考えているけれど、地域の畑や空き地へいろんな人に球根を植えてもらって、春にまた見に来てもらうっていう、よその人と地域の関わりが生まれるといいなと。
流動創生のStopOverやRoundTripでよそから来る人を受け入れて、いろんな人と会っていると、今度は自分が行ってみたくなったというか。

Voice013_img02

地域行事によそ者を巻き込む

西川:
公民館主事は昨年の春からやってます。任期が3年なんだけれど、毎回なる人がなかなか決まらない。去年もなかなか決まらなくて、これは区長会で「責任もって決めなきゃ」ってなって、区長会の中で一番若かったから僕、という(笑)
主事は宅良地区の行事である盆踊り、地区体育大会、かまくらまつり等の段取りをしなきゃいけない。大変なんだけど、でも大変そうな顔をしてたら、次の公民館主事候補も余計見つからなくなっちゃうでしょ?(笑)楽しんでやらなくちゃと。
楽しむためにはどうしたらいいかって考えたら、まずとにかく自分のやりたいことをやる。そして、自分だけじゃできないから、地域の中にやりたそうな人、積極的に関わってくれそうな人を見つけて巻き込もうと思った。

そんなことを考えていた頃、長年地域行事を支えてくれてる若手のグループがいるんだけど、その一人に「流動創生っていう人らが何かやりたがってるよ」って聞いたんだよね。それで声かけてみたの。

荒木:
夏のStopOverでいつも盆踊りに参加させてもらってたんですが、その若者グループの友達が会場の脇でいつも焼き鳥を焼いていて「今度そっち側で手伝わせてよ」って話してたんですよね。それで西川さんに話を繋いでくれた。
おかげさまで前回のStopOverではわたがし屋さんをやらせてもらって、StopOverのネタが1つ増えました。わたがしは原価が安いし、練習すれば誰でもできるし、子供たちとも絡めるので良いニギヤカシになりますね。

Voice013_img03

西川:
流動創生が関わる企画は自分も毎回楽しんでやってます。次のStopOverは何やるのかなあ、今度一緒にこういうのやれるといいなあといつも考えてますね。

変化の時代に自ら動く、形を変えて続けていく

西川:
過疎集落の問題って、耕作放棄地とかインフラとか物理的な面も勿論あるのだけれど、先に来るのは「心の過疎」。人が減って活気がなくなると、気持ちが先に荒んでいく。
流動創生の取り組みのように、よその人の出入りがあって関わりがあれば、心が過疎になることはないんだよね。
それに僕は、よその人と関わることによって、自分も新しい別の場所を外に見つけることになったし。地域の人たちが受け入れる側だけである必要はないよね。

荒木:
受け入れる地域側、旅するよそ者、どっちの気持ちも持ってると豊かですよね。

西川:
今、世の中が絶えず変化している、流動しまくっているからね。働き方にしても、一つのところにずっといられる保証も、会社が生涯面倒を見てくれる保証もない。教育にしても、授業内容、教育のあり方、それに子供たちをとりまく環境もどんどん変わっていく。みんな言葉にしなくても感じてはいるよね。社会の「大きな動き」が、昔は10年スパンだったものが今は1年スパンで動いている。

荒木:
多くの人が、変化を感じてはいても嫌がっちゃうんですよね。特に地方はネガティブなほうの変化で脅されている。耳を塞ぎたくなるのはわかるんですよ。
主体的に変わっていく姿勢であれば、周りの流れに翻弄されずに進んでいける。西川さんはそういうポジティブさをもっていますよね。うまくいくかわからないけれど、とにかく手を打ってみようという。

西川:
そうそう。こういったらうまくいくっていう見通しがあってやってるわけではないんだよね。でも明らかに、今の姿が永遠に続くわけがない。無理に続けようとすればガタがくる。続けるにしても、形を変えてやっていかなければいけない。今のままにしておくと、結局一番望んでいない形になってしまうから。自分から何らかの動きを取ってみる、そのプロセスの中で次が生まれてくる。そこに意味があるんだと思う。

Voice013_img04

僕が動きをとれているのには、流動創生と知り合ったことがやっぱり大きいかな。
ただ何かの記事を読んだだけではなくて、実際に外から来た滞在者の人たちと時間をともにして、そういうふうに全国を動き回っている人たちがいるっていうことを肌で感じて、自分も動きたくなった。
流動の激しい時代の中にあっても、何か創り出さなければいけない。まさに「流動創生」っていう言葉は時代を表してるよね。そのうち流行語大賞にノミネートされるんじゃないかと思ってますよ(笑)

写真=宇野 朱美、Tatsuya Yamagishi(シノノメクリエイション)
聞き手・文=荒木 幸子(FlowLife Laboratory/流動創生)

Recent Posts

  • New
    #015
    2019.03.14
    借り暮らしで考える、暮らし方の選択肢と“拠点”のかたち ~流動創生創設二者対談
  • #014
    2019.02.04
    多拠点居住の佐々木俊尚さんに聞く、拠点×地域のいまとこれから
  • #013
    2018.12.21
    よそ者との関わりが「心の過疎」を癒す。西川修司さんが創り出す地域の流動性
  • #012
    2018.12.11
    地域を訪れ人間を知る、都市に留まり人間と向き合う。いずお智佳さんのサラリーマン二拠点
  • #011
    2018.07.18
    【イベントレポート】流動創生CrossOver 関係人口の分解と再構築レポート後編~手段としての関係人口
  • #010
    2018.06.20
    徒歩探索でエリアを理解する、熱狂を生み出す。コミュニティビルダー柴田大輔さんの”パトロール”の真髄
  • #009
    2018.06.17
    【イベントレポート】流動創生CrossOver 関係人口の分解と再構築[中編]~被災地の関係人口
  • #008
    2018.06.07
    【イベントレポート】流動創生CrossOver 関係人口の分解と再構築[前編]~複属と分人
  • #007
    2018.03.29
    ヨハクデザイン×流動創生対談【後編】夢追い人へのメッセージ
  • #006
    2018.03.26
    ヨハクデザイン×流動創生対談【前編】流動する「個」と「組織」の関係